Licht

〜キャンドルのある風景〜

ずっと昔、ちょうどクリスマスが間近な頃。
初めて北欧のスウェーデンを訪問しました。

空港からホテルへタクシーで向かったのですが、
まだ夕方だったのに辺りは夜中のように真っ暗でした。
雪も舞っている中無事に着くのか不安な気持ちで、
窓から外の景色を眺めていました。

だいぶ街に近づいてきて住宅や建物が見えてきたとき
「あっ」と思わず窓に顔を近づけてその先に映ったものは
住宅の窓辺に並んでいる山型のアドベントの
キャンドルライトの灯りでした。

どの家の窓辺にも、ホテルやオフィスの窓にも、
キャンドルの灯りがこぼれていました。
その温かそうな灯りで、言葉では表現できないくらい
安らいだ気持ちになったことを覚えています。

訪問したスウェーデンの家庭では、
キャンドルは日々の暮らしの中で日常的に使われていました。

食事をするときや、お茶の時間、
くつろぎたい時、バスタイムでも。

その時にキャンドルの灯りは、
人々にこころに寄り添う「幸せなモノ」のように感じたのです。

何年か前に、これからの生き方を模索している時期がありました。
悲しいできこともあり自分のハートが
すっかり氷のように冷たくなったようにも感じました。
この頃は目に写るもののほとんどの色が褪せて見えていた気がします。

そんなモノトーンな日々が続いていた時、
ある日、知り合いに教えられて手作りのキャンドル展に行きました。

軽い気持ちで伺ったのですが、
色鮮やかな美しいキャンドルや
灯りがともされたキャンドルを見たとたん、
あの窓辺のキャンドルライトのやさしい温かさが、
再び自分の中でよみがえってきたのです。

キャンドルの灯りのもつ癒しのちからが、
氷を溶かして景色の中に色を戻してくれました。

そして、そんな人のこころをやさしく包んでくれるような灯りの
キャンドルを自分でもつくれるようになりたいと思い、
作り方を学び、いつでも好きなときにキャンドルを灯せるように、
とわたしのキャンドル作りは始まりました。

キャンドルの炎は、こころの灯り、
自分の内なる光を目覚めさせてくれたり、
クリアリングなどの浄化作用など
不思議なパワーを秘めているように感じます。

炎を灯せばやがて燃え尽きてなくなってしまう儚さもあります。
日々の暮らしの中にキャンドルを灯し、安らぐひと時と
美しく静かな空間を楽しんでいただけたらと思います。